1月14日の日記

2限の確率と統計という授業でレポートが出ていたので取り組む。最尤推定法は授業でやったということだったから、パラメータ推定についてフィッシャー情報量を相対エントロピーから導出したあと、この逆行列が共分散行列の下限となること(クラメールラオ不等式)を示し、あとはシャノンエントロピーの定義と意味をちょこちょこと書いて提出した。フィッシャー情報量の意味と相対エントロピーの関係については結局よく理解できずにいる。

 

 

3限の量子力学Cの授業終わりに、ab先生にいくつか質問をする。

 

フェルミオン弦では、弦の振動の生成消滅演算子に反交換関係を課しますが、複数個の同種フェルミオン間に成立する排他律と、一粒子(一個の弦)の内的な振動モードの個数というのは別物ではないですか。QFTにおいてスピノル場の生成消滅演算子を反交換関係で置くのは理解できるのですが。」

「超弦というのはあくまで仮説です。ここでの反交換関係も当然仮説です。そういうものを導入して超対称性を考えるとアノマリーを消せるというだけです。」

 

「カラビヤウ多様体上の位相不変量が粒子の質量を決めるということですが、標準模型に含まれる有質量粒子は全て弦の段階ではmasslessで、ヒッグス機構によって質量を獲得します。カラビヤウ多様体とヒッグス機構はどのような関わりを持つのでしょうか」

「ヒッグス場の性質(自発的対称性の破れが起こるかどうか、など)が、カラビヤウ多様体上の位相幾何学的な性質で決まります。」

 

標準模型の3つの相互作用と重力は、スピン1、スピン2のゲージボソンが媒介しますね。」

「あとヒッグスがスピン0ですね。」

「スピン3以上のボソンが媒介する相互作用がないのは、masslessな第一励起状態のボソン弦が3階以上のテンソル場を作れないから、ということで合ってますか。逆に言うと高エネルギー領域においては、スピン3以上のボソンが媒介し、4つの相互作用のどれにも当てはまらない相互作用がいくつも現れるということですか。」

「それで合っていると思います。」

「ありがとうございます。」

最後の質問、弦理論はあっさりと答えを出してしまったが、標準模型にも回答はあるんだろうか?

 

その後、配属希望を出しているysd研の面接に行く。

志望理由を聞かれたので、素宇宙論の研究室で下積みするくらいなら生物物理で研究をする方が楽しいと思ったから、と答えた。卒研配属の条件を満たしていれば取ってくれるらしい。