弦理論1.1 背景時空と世界面
D次元ミンコフスキー空間 における、ポアンカレ対称性を持った弦の古典論を考える。弦が掃く2次元面を世界面という。世界面上のパラメータを とする。世界面上の点はD次元空間では で記述される。当面、 を時間的、 を空間的なパラメータと考えることにするが、新たに というパラメータを用いても理論の物理的な内容は変わらず、作用は不変であると期待される。これをdiff不変性という(座標変換 が全単射かつ微分可能であり、逆写像も微分可能であるとき微分同相変換あるいはdiff変換という)。
世界面上の(誘導)計量を とする。添字の は に対応する。ここでは、添字にギリシャ文字を使う場合は背景時空、アルファベットを用いる場合は世界面上の座標を意味するとする。
世界面上の線素を二通りの方法で表すと
であるから、
が出る。これを誘導計量という。 これは世界面上の基底ベクトル と
の内積
と思ってもよい(いま平坦時空を考えているから、当然
である)。